Lien⇔Line
−半年と少し。
4人の母親達が、ビースキー宅にて。
・・
それにイーリスは初めて気付いた。
しかし、チェーターは自信に溢れた笑顔で言った。
「僕、知ってたよ!」
母親達に向けられた彼の笑顔が、まず、アルフィスと名付けられた少女に向く。
彼女は、近所の3歳ほどの子供達と笑い声をたてながら走り回っている。
「…アルフィスちゃんって何歳なの?」
1人の母親が尋ね、他の2人もイーリスを見る。
現に、彼女自身も何が起こっているのか分からなかった。
確か、チェーターが初めて歩いたのは1歳と半年。
しかし、アルフィスは、まだ7か月だ。
生まれて嫌な予感がしてから、半年以上の間考えていなかったことが、脳裏に蘇る。
―この双子・・
だが彼女は冷静に笑顔を作り、答える。
「運動能力が高いのよ、自慢の娘になりそうだわ。チェーターも良い妹を持てて良かったわねぇ。」
「うんっ♪あ、でもお母さん!レイミーも凄いんだよ!」
次にチェーターはレイミーと名付けられた正直の方に、いつもの笑顔を向けた。
母親達4人も同時にレイミーを見た。
「あら、レイミーは絵を描いているんじゃないの?」
チェーターは、レイミーがペンを向けていた紙を無理矢理奪い、母に渡した。
そこには、たくさんの数字が並んでいる。
「これね!お父さんが僕に教えてくれた足し算ってゆーやつだよ!
僕もお兄ちゃんだから、色んなこと教えてあげようって思って、僕が教えたの!」
自慢げに話し始めるチェーター。
驚きが隠せない近所の母親達。
それでも冷静に振舞うイーリス。
そんなことは知らずに走り回るアルフィス。
何も考えずに机に向かうレイミー。
この時、いやもっと以前だろうか。
噛み合わない歯車が回り始めたのだった。