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―終わりのない始まり
不完全な双子が、ビースキー宅にて。
ある国の、ある村でその双子は生まれた。
親族は皆びっくりした。先に生まれた姉は髪が黒く、弟の方は色素の薄い茶髪だった。
2人とも瞳は淡い紫。しかし、双子の両親、兄とも濃い茶髪で、茶色い瞳をしていた。
両親は何か嫌な予感を感じた。が、どちらも表に出さず笑顔で誕生を祝うのだった。
双子より5歳年上の兄は、チェーター・ビースキーといい、温厚な少年だった。
チェーターは双子の誕生を素直に喜び、ずっと2人の目を見つめた。
両親は姉をアルフィス、弟をレイミーと名付けた。同じ頃、母はチェーターを連れ、近所に「双子」が生まれたことを報告しに行った。
チェーターは「双子」という言葉を十二分に聞き慣れた。
しかし、2人で一緒に生まれてくることは分かるが、彼の目には「特別扱いしすぎ」に見えたのだ。
「お母さん、双子って何?」
ある朝の朝食を作る母の後ろ姿に話し掛ける。彼の母、イーリス・ビースキーは作業を続けながら答えた。
「チェーターにはまだ教えてあげてなかったかしら?双子は2人一緒に生まれてくるのよ。その2人は似ていてるの。お母さんは見たことがあまりないけれど、ほとんど区別がつかないぐら…」
そこでイーリスは言葉を止め、チェーターを見ると、彼は何か考えていた。
彼女は、自分が言ったことを少し後悔した。チェーターには気付かせたくなかったのだ。―あの2人はお互いに、そして、私達にも似ていない。
そう考えた時には、もう遅かった。
「でもお母さん、アルとレイは似てないよ?双子じゃないのかな?でも、一緒に生まれたから双子かな?」
次々と疑問符を母へ投げ掛ける、小さな少年。
彼が真剣にそれを考える姿は、のちに起こる恐怖を全く案じさせなかった。
「チェーター、そんなに考えなくていいの。…きっと、偶然よ」
母は柔らかい笑顔で、少年の頭を軽く撫でながら言った。
すると、チェーターは納得いかないような顔をしたが、またあの双子の元に遊びに行った。
イーリスは作業をやめ、切り株のようなイスに座り、静かに小さくため息をつき…
そして呟く。
「…きっと、偶然よ」